11月 19th, 2021 by admin

“近年5Gが注目を集めていますが、総務省は5Gの通信環境を企業や自治体が構築できる「ローカル5G」を制度化しました。今回はローカル5Gについて詳しく解説していきましょう。
【ローカル5Gとは?】
ローカル5Gは、企業や自治体が5Gによるプライベートネットワークを構築して利用できる通信環境のこと。無線通信回線として利用でき、運用するには無線局の免許を取得する必要があります。ローカル5Gの免許では、土地、建物の所有者が、自己の土地の敷地内、自己の建物で利用することを基本としているのです。
【総務省がローカル5Gを推進する目的とは?】
総務省ではローカル5Gを推進していますが、その理由は5Gではまかないきれないニーズへの対応、様々な分野における潜在的なニーズへの対応などが背景となっています。そもそも企業は公衆ネットワークよりも、自営ネットワークを使いたいという傾向があります。自営のネットワークであれば、自社の基準に合わせてセキュリティを強化できますし、通信障害に対しても自社内で迅速に対応できるからです。
また自営BWAの制度化も進められています。この自営BWAとは、地域密着型の通信サービスを提供する「地域BWA」用に割り当てられている帯域を、一定の条件のもと自営無線として利用するネットワークのこと。電波の距離が短い5Gの欠点を補いながら、自営ネットワークを構築できます。
【ローカル5Gのメリットとデメリット】
次にローカル5Gのメリットとデメリットをまとめてみましょう。
<メリット>
・ネットワークは外部環境に左右されない
ローカル5Gは外部環境の影響を受けにくいネットワークです。例えば、キャリアの5Gに通信障害が起こっても、ローカル5Gのローカルネットワーク区間はその影響を受けにくいでしょう。
・広範囲の通信をカバー
局所的なネットワークに関してはWi-Fiが使用されていましたが、Wi-Fiでは1アンテナあたりの通信範囲が狭いというデメリットがありました。そのため、工場やプラントなど広範囲の場所をカバーするためには、多数のアンテナを設置する必要があったのです。一方、ローカル5Gは、Wi-Fiに比べて高い出力で電波を使用できるので、1アンテナあたりのカバーエリアが広く、大規模な工場での使用にも向いています。
・キャリアの動向に左右されることなく利用できる
ローカル5Gは、局所的なネットワークの構築ができます。そのため、キャリアの動向に左右されることなく、5Gのネットワークを活用できるのです。キャリアの5Gは、使用できるエリアがまだ限定的ですが、ローカル5Gは必要な場所にネットワークが構築できるので大きなメリットと言えるでしょう。
<デメリット>
・ノンスタンドアロン(NSA)での運用にデメリットがある
ローカル5Gでは、ノンスタンドアロン(NSA)とスタンドアロン(SA)という運用方式があります。ノンスタンドアロン(NSA)でローカル5Gを運用する場合、5Gの周波数帯だけではなく、4Gの周波数帯も求められます。そのため、その分の手間と電波利用料のコストがかかってしまうため、割高になってしまうのです。ただスタンアロン方式(SA)であれば、全て5Gの仕組みで通信を行うので、広帯域、低遅延、他接続が実現可能となっています。
・障害物が多い場所での通信には向いていない
ローカル5Gは、28.2GHz~28.3GHz帯と、4.6~4.9GHz帯にも拡張されています。28.2GHz~28.3GHz帯は直線的な周波数を使っているのですが、この周波数帯は障害物に弱いというデメリットがあります。そのため障害物が多い場所では、ローカル5Gの通信可能な距離が短くなってしまうでしょう。
一方の、4.6~4.9GHz帯は28GHz帯と比べると、遠くまで電波を飛ばすことが可能。障害物に対してもある程度、透過や回析をするため、28GHz帯での置局設計よりは工場の敷地内など、一定のエリアをできるだけ少ない基地局でカバーすることができるでしょう。”